月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
「あ」

 思わず小さく呟きが漏れた。

 冬海だ。

 冬海のクラスだったんだ。最初は、準備運動のような事をしていたが、どうやら、ドッヂボールをする様子。

 ぷっ、小学生みたい。きっと、まだ学校始まったばっかりだから、こんなことしてるんだろうな。

 頬杖をついて、あたしは冬海の姿を追った。たしか身長はあたしよりちょっと高いくらいだった。

 髪は黒くてちょっと長め、睫毛も長かった。瞳が少し緑がかってるような茶色で。女の子みたいな顔。

 走った、止まった。ボールを投げた、あ、ぶつけられちゃった。

 どうして、こんなに気になるのか分からないけど。中身も知らないし、きっと外見に惹かれてるだけなんだと思う。

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