月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
3-1 ジョンキル
「遊んでるって聞いたけど、いいの? アキラ」
友達がそう言ってたけど、どうでも良かった。あたしはその時の彼氏、友哉が大好きだった。
中学3年の夏。初めての彼。ほとんど初恋みたいなものだった。触れあって嬉しいとかドキドキするとか、小学生や幼稚園のおままごとみたいなのとは違った。人を好きになる、それを友哉は教えてくれた。
どっぷり浸かり、まんまと騙されていたというか。
それと「全てだ」と思いこんでいたものを無くす辛さと悲しさも教えてくれたけど。
「晃、今晩うち来る?」
「えー? 親は……」
友哉だけしか見えて無くて、長い髪をサラサラさせてるのが好きだって言われたから、結ぶのをやめた。
「うち母ちゃんしか居ないし、母ちゃん夜に働きに行ってるし」
そうなんだ、知らなかった。でも、少しずつ友哉の事を知ることができて嬉しかった。
ちょっと不良な雰囲気で、背が高くカッコイイ友哉。
同じクラスで、前後の席になったからよく喋るようになった。あたしが前、友哉が後ろ。
あたしはクラスで目立つ感じのキラキラ女子じゃなかったから、友哉が話しかけてくれるととても嬉しかった。友哉があたしのノートを写したがるようになったり、分からない問題を聞いてきたり。自然と、一緒に居る時間が長くなる。そしてある日、言われた。「一緒に居ねぇか?」って。そこからあたし達は今まで以上に一緒に過ごすようになった。
「なに、お前ら……つきあってんの?」
クラスメイトは、まぁ要するにビックリしてたけど、あたしも一応そういうつきあったりとか? なんつーの? したいじゃん。