月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
泣くタイミングと責めるタイミングを逃した。それの一部始終。
そして中学を卒業して、あたし達は別々の高校へ進学した。もうきっと、会うことも無いだろう。
卒業式では、桜が咲いていたか散っていたか思い出せない。というか友哉との思い出がなんだかあたしの中で曖昧。曖昧だけど強烈過ぎて意識が飛びそうになる。
卒業証書を抱える同級生の隙間に友哉を見つけ、そして彼もあたしに気付き、二人の視線が数秒か、合って、そして離れた。どちらからともなく。
あの時、友哉はなんだか少し唇を動かしていたような気がする。でもあたしには何を言っているのか分からなかった。
友哉はあれからどうしているんだろう。少し気にはなったけど。
友哉の空気をまとうのは、あたしでありたかった。
つまらないあたしを、あなたは自分のものにしたがった。あたしを欲しがった。
きっと、友哉を思い出さなくなる時が来て、恋愛の話を友達とする時に視線を落としてしまう癖が治る時が来る。きっと。
そうして震えながらあたしは高校2年生になった。