月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
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「……あ」
机に突っ伏している自分に気付く。
シャープペンは持ったまま。うっかり眠ってしまったようだ。顔の下にあった古文のプリントはクシャクシャになっていた。
ええ! あたしってばバカ!
そう思って、顔を上げたその瞬間。一気に目が覚めた。
「冬海……くん」
「はい」
目の前に、ほんとに10cmくらいの近距離に、冬海の顔。
「わわわ!」
「ちょっと近かったね」
「な、なん」
「おはようセンパイ」
向かい側に座っている。いつの間に! って、あたし居眠りこいちゃってたけど、その時にか。
「なんか、この間と逆な感じだね」
目を細めて笑う冬海が、頬杖を付いてあたしを見る。
「お久しぶりです。こんなところで寝たら風邪ひくよ」