月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
 光が帰るのは夕方だろうから、それまで一人か。お母さんが出かけたらシャワーを浴びて、本でも読もうか。録画してた映画でも見ようか。

 ケータイを持って降りてきたから、部屋着のポケットを探った。メールが1件。梓から、来週の課題のページを教えてって。どうせまた授業中に居眠りしてて聞いて無かったんだろうな。メール文を見てフフッと笑ってしまった。

 冬海からは連絡無し。まだ寝てるのかな?

 リビングでテレビのチャンネルを操作している間に「行ってくるわねー!」と元気いっぱいお母さんが出て行った。もう午後の昼下がりっていう時間になっていた。

 日曜日のゆっくりとした空気が家に漂っている。こんな日にゆっくりできないなんてお父さんも大変だねぇ。まぁ家でゆっくりするより仕事してたほうが良さそうな人だけど。

 起きたばっかりだけど、なんだかまた眠くなってきてしまった。今日は天気が良い。ほんわりと暖かな雰囲気で、リビングのソファで眠ってしまいそうだ。今日は特に予定も無い。とりあえず録画してた映画をスタートさせ、ソファに深く体を預ける。

 明日になれば、また学校で冬海に会える。学校じゃなくても会いたいけど。休みでも会いたいけど。

 そんなことを思いながら、再生した映画がまだ始まったばかりなのに、あたしの瞼は閉じてしまった。

< 170 / 394 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop