月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
スポーツバッグを「これ光ちゃんの?」と冬海が聞いてきたから、うなずくと、なんか取るのあるのかと聞かれた。光は首を振る。あたし達姉妹はソファーに座る。冬海は下に座った。
救急箱の中に何があるのか分からないけど、キッチンの食器棚の上にあるのを椅子を使って取って、リビングのテーブルに持って行った。開けてみると「消毒とコットンあれば。絆創膏ある」と冬海が取り出してくれた。コットンに消毒液を染み込ませ、光に「腕、出して」と言った。
「い、痛いよね」
「当たり前でしょ、切ったんだから」
光は左腕の縦の傷。ぞっとして肌が泡立つ。なんでこんな切り方をしたのか。
コットンをそっとあてがうと「痛い!」と光が言う。半分までミミズ腫れにようになっていて、また半分が切れていた。最後はカミソリが刺さっていた所だから少し深いみたい。
「何が、あったの」
あたしは、消毒をしながら光に聞いた。こんな事をして。自殺……未遂じゃないの。
「……」
光は黙っていて、冬海も黙って聞いている。絆創膏を箱から出しながら。3枚も4枚も。そんなに使うだろうか。
救急箱の中に何があるのか分からないけど、キッチンの食器棚の上にあるのを椅子を使って取って、リビングのテーブルに持って行った。開けてみると「消毒とコットンあれば。絆創膏ある」と冬海が取り出してくれた。コットンに消毒液を染み込ませ、光に「腕、出して」と言った。
「い、痛いよね」
「当たり前でしょ、切ったんだから」
光は左腕の縦の傷。ぞっとして肌が泡立つ。なんでこんな切り方をしたのか。
コットンをそっとあてがうと「痛い!」と光が言う。半分までミミズ腫れにようになっていて、また半分が切れていた。最後はカミソリが刺さっていた所だから少し深いみたい。
「何が、あったの」
あたしは、消毒をしながら光に聞いた。こんな事をして。自殺……未遂じゃないの。
「……」
光は黙っていて、冬海も黙って聞いている。絆創膏を箱から出しながら。3枚も4枚も。そんなに使うだろうか。