月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
1-1 フューシャ
2月。
1週間前に雪が降った。
でも、その後に晴天が続いたので、乾いて跡形もない。
今日は、もう春かと感じる程、暖かい日。
放課後の校内は、外から聞こえる部活動の声も窓越しに遠く聞こえて、昼間より静か。
あたしは、図書室に本を借りに行った帰り。
読みたい本だけ借りて帰るはずだったのに、目移りしてつい長居をしてしまった。
いつもの話だけど。
途中、トイレに寄って、少しだけ化粧直し。
「おし」
別に帰るだけだけど。何も無いけど。化粧って言っても、グロスくらい。
バレたら生活指導の先生に怒られる。
彼氏まだ無し。あたしだっていつかは恋をする、だろう、多分。
トイレの鏡に映った自分を見て、そう思う。いい恋がしたい。
ストレートの、腰まである長い髪を整えた。
1ー3 幸田 晃。
そう書かれた図書カード。学校の指定鞄の、いつもの小ポケットにしまった。
1週間前に雪が降った。
でも、その後に晴天が続いたので、乾いて跡形もない。
今日は、もう春かと感じる程、暖かい日。
放課後の校内は、外から聞こえる部活動の声も窓越しに遠く聞こえて、昼間より静か。
あたしは、図書室に本を借りに行った帰り。
読みたい本だけ借りて帰るはずだったのに、目移りしてつい長居をしてしまった。
いつもの話だけど。
途中、トイレに寄って、少しだけ化粧直し。
「おし」
別に帰るだけだけど。何も無いけど。化粧って言っても、グロスくらい。
バレたら生活指導の先生に怒られる。
彼氏まだ無し。あたしだっていつかは恋をする、だろう、多分。
トイレの鏡に映った自分を見て、そう思う。いい恋がしたい。
ストレートの、腰まである長い髪を整えた。
1ー3 幸田 晃。
そう書かれた図書カード。学校の指定鞄の、いつもの小ポケットにしまった。