月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
4-1 モンタナ
あたしが休んだことなんて、無かったような教室。
みんないつもと変わらなくて、空気も変わらない。
「アキーもういいの?」
「うん、生理痛ちょっとキツくて。休んじゃった」
梓が朝、あたしを見つけて話しかけてきた。そう、あたしは昨日休んだ。
嘘だったけど。生理痛なんて嘘だけど、昨日、雨に濡れたせいで、少し熱っぽく、鼻声になっていた。
「そんな酷いんだっけいつも」
美由樹も混ざってきた。心配そうな顔で、覗きこんでくる。
「そうでもないんだけど……なんか昨日は」
「今日体育あるし、キツかったら、保健室行っちゃえ」
うん、と頷いてみた。鼻声だねーと梓が言う。朝、風邪薬を飲んで来れば良かったな。
昨夜はあまり眠れなかった。
ベッドでもぞもぞしているうちに少しウトウトして、それを何回を繰り返して、気付けば朝になっていた。今日も休みたい気分だったけど、そうもいかなくて無理やり起きた。