月光レプリカ -不完全な、ふたつの-

4-1 モンタナ



 あたしが休んだことなんて、無かったような教室。

 みんないつもと変わらなくて、空気も変わらない。



「アキーもういいの?」

「うん、生理痛ちょっとキツくて。休んじゃった」


 梓が朝、あたしを見つけて話しかけてきた。そう、あたしは昨日休んだ。

 嘘だったけど。生理痛なんて嘘だけど、昨日、雨に濡れたせいで、少し熱っぽく、鼻声になっていた。

「そんな酷いんだっけいつも」

 美由樹も混ざってきた。心配そうな顔で、覗きこんでくる。

「そうでもないんだけど……なんか昨日は」

「今日体育あるし、キツかったら、保健室行っちゃえ」

 うん、と頷いてみた。鼻声だねーと梓が言う。朝、風邪薬を飲んで来れば良かったな。

 昨夜はあまり眠れなかった。

 ベッドでもぞもぞしているうちに少しウトウトして、それを何回を繰り返して、気付けば朝になっていた。今日も休みたい気分だったけど、そうもいかなくて無理やり起きた。


< 230 / 394 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop