月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
「サボったりしてるでしょ? あたしは知らなかったけど」
「センパイ……?」
「なんか冬海、あたしに……隠してるよね……?」
「……」
胸をさすっていた冬海の手が止まった。あたしは冬海をじっと見た。
あたしだって、冬海に抱かれたいって思ってる。
「この間、見たの。冬海が……」
好きなんだもの。
「……女の人が運転する……白い車から降りて、ホテルに入るところ」
好きなんだよ。
「……」
冬海の目が、大きく見開いた。
「何してんの……? ねぇ冬海」
ただならない雰囲気の冬海に、あたしの心臓はバクバクと倍速で打った。彼の口から聞きたかった。何があるのか。
マミ先輩と中尾先輩の言葉がずっと繰り返されてる。もう幾度となく頭の中で。