月光レプリカ -不完全な、ふたつの-

「……」

「なんで、黙ってんの? 言えないこと?」


 太ももまで下げられた下着の感触。それがなんだか情けなくって、泣きたくなる。

 大好きなのに、受け入れたいのに。


「……ホテルに……なんで?」


 冬海が怯えたような目であたしを見た。そして目を逸らして、笑った。



「……バレちゃったか」

 雰囲気にそぐわないその笑顔は、あたしの心を硬直させるだけで、その為にそこにあるようで。


「言うつもり無かった。ずっと続けるつもりも無かったし。言う必要無いと思ってた……」

「なん……」



「売りしてんだよ」


 首を傾けて、また笑った。

 何か楽しいことでもあったみたいに。無邪気に。


「大人からお金貰って、買われてんの。俺」



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