月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
「でも、センパイとしたいのは売りとは違うから。好きだから、だから」
そう言って手を伸ばして来た。あたしは反射的に避ける。なんだよって顔をして、冬海はあたしの手を触った。
「さ、わらないで!」
口が回らない。
触って欲しく無かった。
好きなのに、好きな人が知らない誰かと体を合わせていて、そんなの……。
「……なんで、俺、喋ったのに」
「そんなこと聞いて……平気でいられない」
こんなことになるなんて。
「センパイ……」
「大人とセックス、してお金貰ってって……そんな……売春で」
「女でやってるやついっぱい居るだろ? 珍しくないし」
「やめて!」
ボタンを外されて胸元があらわになっていたから、そこを無意識に掴んでいた。
次々に冬海の口から出る言葉が、理解できない。
「何言ってんのか……わかんない」
「……俺の体だし、どうしようと勝手でしょ」
「気持ち悪いから!」