月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
「センパイも俺と会うの辛いだろ。……キモイし」
「あ……違う、あれは……!」
「いいんだ」
笑ったような、ため息のような冬海の声。
なんで、久しぶりに2人で会ってこんな会話なんだろう。
普通の恋人だったらこうはならなかっただろう。
少しだけ人と違っていたことがあって、でもそれは、2人の関係をねじれさせてしまっている。
「……あたしは……」
ザッ。
目の前に影ができたのが、人が立ったからだと気が付いたのは、その影の方を見た時だった。
「アキラ……」
背の高い、茶色い髪。
夏だからか、彼も夏休み前に1度会った時よりも少し短くなっていた。
なんで、今?
「と、友哉……!」