月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
「関係あんだよトーミくん。俺コイツの元彼だし」

「別れたんだろ、あんた部外者じゃん。何しゃしゃり出て来てんの。カッコ悪いね」

「なんだとコラ」

 友哉が冬海に詰め寄った。だめだ、友哉はケンカっ早い。

「やめて、2人とも」

「前の女が、新しい男できたからどんな奴かと思ったら、体売ってるとかワケ分かんねぇ奴だったからだろ!」

 ますます友哉は冬海に詰め寄って、今にも殴ってしまいそう。

 体格的にも冬海が敵う相手じゃない。中学の頃だって、何回かケンカ事件起こしてたんだし。

「ほんと、ちょっと落ち着いて、ね。友哉。冬海も」

「だから、別れたんだろ? もう晃の何でもないじゃん。いつまでも付きまとって、ストーカー?」

「てめえ!」

 ゴッ。
 暑い空気の中、鈍い音。

 冬海が脇腹を押さえて体制を崩した。「ちょっと! 冬海!」あたしは冬海の腕を掴んで支えた。


「調子乗ってんじゃねぇぞ!」

「やめて!!」

「どけアキラ。コイツぶっ殺す!」

「だめー!! やめて友哉!!」


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