月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
骨折は治療すれば良くなるけれど……殴る蹴るの暴行で、目に見えないダメージがあるかもしれない。頭とか……内臓とか……。そこまで想像して、ぞっとして鳥肌が立った。
怖かったに違いない。あの、白い車の女社長。助けてくれなかったんだろうか。送り届けるだけなの? 何やってんのよ!
制服のポケットに入れてたケータイ、そういえばお母さんにメールしてから見ていない。取り出して開いてみると、1件のメールが来ていた。お母さんだった。
今度、うちにも連れて来なさいね。そんなメールだった。嘘をついてちょっと罪悪感もあったけど、今はそれよりも冬海の容体の方が気になる。お母さんごめん。
待合スペースは薄暗く、飲み物の自動販売機が背後にあって、ぼんやりと光って、ジーッという冷蔵庫みたいな音を出している。誰も居ないから、やけに大きく聞こえた。
ガーッと、自動ドアが開く音にびくっとする。タケさんが入ってきた。車を停めてきたらしい。
「検査に行ったの?」
「はい」
「……そうか」
タケさんは、あたしが座る長椅子の端に腰かけた。ギシリと音が出る。
「なんか飲もうか、疲れたろ」
「あ、いえ」
「まぁ、甘いののほうが気持ち落ち着くよ」
怖かったに違いない。あの、白い車の女社長。助けてくれなかったんだろうか。送り届けるだけなの? 何やってんのよ!
制服のポケットに入れてたケータイ、そういえばお母さんにメールしてから見ていない。取り出して開いてみると、1件のメールが来ていた。お母さんだった。
今度、うちにも連れて来なさいね。そんなメールだった。嘘をついてちょっと罪悪感もあったけど、今はそれよりも冬海の容体の方が気になる。お母さんごめん。
待合スペースは薄暗く、飲み物の自動販売機が背後にあって、ぼんやりと光って、ジーッという冷蔵庫みたいな音を出している。誰も居ないから、やけに大きく聞こえた。
ガーッと、自動ドアが開く音にびくっとする。タケさんが入ってきた。車を停めてきたらしい。
「検査に行ったの?」
「はい」
「……そうか」
タケさんは、あたしが座る長椅子の端に腰かけた。ギシリと音が出る。
「なんか飲もうか、疲れたろ」
「あ、いえ」
「まぁ、甘いののほうが気持ち落ち着くよ」