月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
「この2人も可愛いよね。いいねぇ。飽きたら俺と遊ぼうぜ」

「はぁ」

「やめろよ俺の生徒に手を出すな。出したらぶっ飛ばす」

「冗談だよん」

 ぜひとも冗談であって欲しい。男も女もって、そういうことか。この顔だったらどっちにも困らなそう……って、何考えてるのあたし。

「車で抱き合って寝るのかよ。吉永とは嫌だな」

「俺だって嫌だ。迷惑だ。辛い」

「傷つく……」


 なんかコント見てるみたいで、あたしは少し笑ってしまう。

 吉永先生が「よし行くか」と促して、2人は病室を出て行った。


 足音も遠ざかり、しんとなった病室。

 あたしは窓際のベッドにかかるカーテンをそっと開けた。白いベッドに冬海が寝ている。


「……」

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