月光レプリカ -不完全な、ふたつの-

 道路には誰も居なくて、でもそれで良かった。

 歩いて、ここがどこだかよく分からなかったから、帰れるのだろうかと思ったけど、別に帰れなくても良いと思った。


 もう、冬海のそばにいられない。冬海が、別れようって、あたしを離した。


 ここは外で、知らない道路。

 どこで泣けばいい? どこだったら大声で泣いてもいの?


 電柱にぶつかりそうになったから、その電柱を殴った。手が痛かった。

 電柱は冷たくて、胸も心も、全部痛い。

 冬海が居ないと、全てが痛い。

 苦しいよ、冬海。あたしはあなたのそばに居たいだけなのに。


 だめ、なんですか……?









 ***


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