月光レプリカ -不完全な、ふたつの-


 ***



 辛いとか悲しいとか、そんなことが自分の中にあっても、毎日は進んで良く。

 夜が進めば朝が来るし、透明な光に包まれる。

 終わりにできたら、どれだけ楽なんだろう。なんて、そんなことを考える。


 もう冬海は退院しただろう。校内で吉永先生にも会っていない。

 冬海の居ない毎日に身を置くだけで、授業も身に入らないし、何も考えられなかった。


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