月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
 憂鬱な週末だ。

 夕食を食べないで部屋に閉じこもっていると、ケータイが鳴った。

 吉永先生だった。ケータイを持って、ベッドに寝転ぶ。


「……はい」

「あー、吉永です」

 出なければ良かったなと少し思う。たぶん冬海のことだろうから。

「今日な、園沢が退院したから。骨折も思ったより治りが早いみたいで」

「はぁ……」

「お前も来るかと思ってたんだけど」

 病院に行けるわけがない。先生、知らないんだ……。

「……」

「幸田? どうした」

「別れたんです」

 唐突にそう言った。先生には関係無いんだけどね。言わなくても良いんだけど。

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