月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
「別れたのか?」

「終わりにしようって言われたんで」

 棒読み。ぶっきらぼう。なんかもう、あたし何を先生に喋ってるの。関係無いのに。

「なんでまた……」

「先生には関係無いです」

「まぁ……それは……」

「退院したんだったら良かったです。じゃあ」

 そう言って、一方的に電話を切った。イライラしていた。そして迫りくる罪悪感。吉永先生に当たってどうするの。

 あたし最悪だ。最低だ。

 もう、自分が嫌で仕方がない。ケータイをベッドの下に放り投げた。あたしのバカ!

 梓達と出かける予定でも入れておけば良かったな。

 最低の気持ちのまま、最高につまらない週末をほぼ部屋に閉じこもって過ごすハメになる。

 光が時々「おねーちゃーん!」って呼びに来るけど返事だけして出ない、みたいなのを数回繰り返して、日曜日が終わる。

 そしてまた月曜日になって。憂鬱すぎる。
 
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