月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
 いつものように登校し、なんとなく授業を受け、そして昼休みが終わる頃、梓と美由樹に、冬海と別れたことを言った。

 びっくりしていたけど、問い詰めては来ない。それが2人の優しさなのかもしれない。


「元気無いとは思ってたけど。そっか」

 美由樹が、廊下の壁にもたれてため息をついた。梓も明るい表情ではない。逆にあたしが2人から彼氏と別れてしまったっていう話をされたら、同じ気持ちになるんだろうな。

「ぱあっと、カラオケでも行こうか!」

「いいじゃん」

 2人がなんだか勝手に盛り上がってしまった。
 
「ご……ごめん、あたしまだ……」

 そんな気分じゃ、ない。普通に学校に来てるのが不思議なくらいだ。休みたいって何回も思うけど。

「……そうだよね。ごめん」

「いやいや、ありがと! わーって遊びたくなると思うし! その時は梓と美由樹に言うから……」

 明るく騒いで忘れたいっていう気分じゃなかった。心配してくれる2人にはありがたいって気持ちはあるけど。

 みんな、こういう時はどうやって元気になるんだろう。

 そういえば、あたしはその方法すら分からないで過ごしてる。友哉の時も。

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