月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
 寒くなるばかりで、日も短くなってきている。

 午後も変わらずぼんやり授業を受け、この間受けた小テストが返されたけど、見たくない点数だった。

 冬海は、いつから学校に来るんだろう。

 学年は違っても、また校内で会うかもしれない。どんな顔をすれば良いんだろう。

 本を返しに行ってから帰ろうと思い、放課後、図書室に行くことにした。昇降口の前を通りかかると、3人の女の子が帰りがけで、おしゃべりをしていた。うちらみたい。

「2組に園沢っているじゃん。イケメンの」

「あーいるいる」

「ミキが良いって言ってた人でしょ」

 心臓がはみ出るかと思った。

 園沢って、冬海のことでしょ……。足が止まりそうになったけど、立ち聞きするわけにもいかなくて、ゆっくり通り過ぎることにした。

 あの子達、1年生か……。ミキって誰だ。


「入院してんだって」

「へぇ、そうなんだ」

「なんかさぁ……ウワサ聞いたんだけど」

「なになに」


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