月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
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「ただいま」

 ちょうど夕食前。あたしは家の玄関で靴を脱いだ。

「おっおかえり、晃がいただきますに間に合ったよ母さん~」

 リビングから覗いたのはお父さんだ。いま18時を回ったところ。早く帰ってきてたんだね。
 あたしは「ただいま」とキッチンに立つお母さんに声をかけた。お父さんはテレビを観ていたみたい。クイズ番組だった。

「お父さん、たまに帰り早いとテンション高いよ」

「嬉しいんでしょ、着替えてらっしゃい」

 自分の部屋は2階。階段を登った。夕食の香りが家中に漂っている。鞄を置いてトレーナーとデニムに着替えてリビングへ戻った。

「生徒会忙しいのか?」

「ううん、普通に帰り時間このくらいになるよ」

「ふうん」

 出張が多く、あまり子供たちの時間割を分かってないお父さん。まぁ仕事だから仕方ないけどね。

「部活やってないから、早いほうじゃない? まぁ今日は生徒会あったけど1時間くらいだもん」

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