月光レプリカ -不完全な、ふたつの-

「休みなんだろ? 春休み」

「うん」

 友哉だって休みなはず。

 梓と美由樹が、こっちの会話をうかがっている。早く下に行ってご飯食べなよ! 

 あたしは手を振って、冬海じゃなかったよとジェスチャーした。なんだか分かったような分かってないような。

「マミに聞いてたんだ。お前の番号」

「……そっか」

「あのさ」

 あんな別れ方をした夏以来だ。

 言いたいことがあるのに、言い出せないような、躊躇してるような、そんな感じの友哉。それが伝わってくる。

「アイツ、学校辞めたんだってな」

「……うん」

 やっぱりその話……か。

 正直、忘れようとしているわけじゃないし、あたしの中では何も終わってないから、辞めたと言って過去の人みたいに言われるのがとても癪に障るんだ。

「お前に教えようと思って。そんで電話した」

「何を?」

 座り込んで、パジャマの裾をいじる。あたしに教えたいこと? 

 梓と美由樹は「下に行ってるね」と指差して、部屋から出て行った。


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