月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
「え、なにアキ帰るの?」

 お箸を持ったまま、梓がリビングから出てきた。「あらまぁ、帰るの?」と美由樹のお母さんも。


「すいません。用事あって」

「梓には詳しくあたしが言うから! 早く行きなよ!」

「え、なになに!」

 お箸を持ってるけど、それどころじゃなくなった梓。あたしも説明してる暇は無い。

「じゃあ、ごめんね」

「バイバーイ!」

 明るく手を振る美由樹、そして後ろの梓と美由樹のお母さんに手を振って、あたしは玄関を出た。



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