月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
1時間くらいで終わると言うので、アウトレットモールで時間を潰し、冬海を待った。
夕方になろうとする時間。家族連れなんかは帰り足だ。
なんだか夢みたい。冬海に会えた。アパートに行くことも、探してみることもしてなかったけど、もう会えないと思っていたから。
あたしは、アウトレットモールのカフェに居る。ここで待つように言われた。
店内には女子のグループやカップル、家族連れが居て、出て行ったり入ってきたり。あたしは1人で座って、温かいココアを少しずつ飲んでいる。
自動ドアが開く度に、外の音が入ってくるけど、冬海はまだだ。
何回も見てるけど、違う人ばかり。少しため息が出た。
「ごめん、遅くなって」
横から声と姿がいきなり来て驚いた。冬海だった。え? 自動ドア開いてないけど。
「どっから来たの?」
「え、あっち」
あたしが入って来て、ずっと見ていた入口じゃなくて、奥にも出入口があったらしく、そこを指差す冬海。