月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
カーテンから漏れる光に目が覚める。ええと、ここはどこだっけ?
「……起きた?」
隣から声がする。
そうだった。ここは冬海がいま住むアパート。殺風景だけど、ここに居るんだ。
「起きてたの?」
「俺もいま起きたとこ。晃が口開けて寝てるの見てた」
「うわー変態」
「変態って言うな!」
おでこを手で押さえられた。脱ぎ捨てられた服が視界に入る。持ってきた着替えとかが入っている鞄。食べたお菓子とペットボトル。
「晃、3年になるんだなー大人じゃん」
「そう? あんまり変わらないけど」
なんか、現実に引き戻された感じ。ふんわりとした未来しか自分の中に無いけれど。
「大学行こうと思ってるから」
「応援すっから」
「うん」
3年生になって、受験があって。これから色々あるだろう。春休みも終わるし。
「俺は……仕事がんばる」