月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
2-2 エリナイト
「おはよーアキ」
「あ、おはよ」
梓が後ろから声をかけてきた。校門のところ。生徒達が吸い込まれていく校門で挨拶や笑い声が飛び交う。
「美由樹がさ、今日マック行こうって」
朝からマックの話かよって思ったけど、ここんとこ誘いを断ってるからなぁ。この間は待たせた挙げ句に行かなかったし。
「分かった、いこ」
げた箱に靴を入れ、教室へ向かう。
うちの学校は1年が2階、2年が1階、3年が3階。だからあたしは2年になって1階にある図書室と近くなって嬉しかったのだ。
目の前にある階段。そこはあたしは登らないけれど、目が行って、ふと横に視線をやる。そして足が止まった。
そこで見つけたのは、生徒と生徒の間に見え隠れする冬海の姿。