月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
季節は6月の後半で、梅雨入りしてしまいそうな雰囲気の天気が続いていた。今朝、起きて部屋のカーテンを開けると、青空が張り付いた窓だったから、思わず「ひゃっはー」と言ってしまったんだ。「ひゃっはー」っていう気持ちだったから。朝のお天気ニュースを見たら、秋田も晴れの予報だ。これはテンションが上がる。
バスの切符売り場でチケットを買い、停留所に入ってきた秋田行きのバスに二人で乗り込んだ。
「寒くない?」
そう聞かれて、窓側に居たあたしは首を振った。今日は暑いくらいで、バスの中はエアコンがついていた。
「あたし、高速バスって自分で乗ったの初めて」
「俺はあるよ。こっち来た時、ばーちゃんと乗って来たもん」
ああそうか。何より、時間はかかるけど新幹線より安いしね。それは助かる。
バスの埋まりほぼ満席。週末だからなのかもしれないけど、結構高速バスって人が乗るんだなぁ。
初めての遠出。日帰りだけど、それでも嬉しい。ネットで目的地までの行程を調べてみたけど、なかなか長距離移動になりそう。
「車で行ったほうが楽なんだけど、免許も車も無いしな……」
予定を立てている時、電話で冬海がそう言った。うーん……まだ免許取得の歳じゃないしね。
入道崎。今日は、そこへ行く。冬海が「晃と行きたいな」って言っていた場所。どんな場所なんだろう。
行ってからの楽しみが半減しそうだったから、行程を調べたりして出てきた写真はなるべくじっくり見ないようにしていた。興奮して昨夜はよく眠れなかったんだ。だから、バスに乗ってからすごく眠い。
「でさ、会社の森さんが晃も連れて来いって」
「……ぁ」
やばい。話、聞いてなかった。どうしようすごく眠い。
「眠いんでしょ。出発したばっかりだし、寝ていいよ。俺もちょっと眠い」
半分寝ているような状態のあたしは、その言葉で目を閉じた。昨夜、ちゃんと眠れなかったから。バスからの景色も見たかったのに。冬海、呆れただろうか……ごめん。睡魔はあたしの目蓋に「くっつけ!」と魔法をかけたに違いない。
バスの切符売り場でチケットを買い、停留所に入ってきた秋田行きのバスに二人で乗り込んだ。
「寒くない?」
そう聞かれて、窓側に居たあたしは首を振った。今日は暑いくらいで、バスの中はエアコンがついていた。
「あたし、高速バスって自分で乗ったの初めて」
「俺はあるよ。こっち来た時、ばーちゃんと乗って来たもん」
ああそうか。何より、時間はかかるけど新幹線より安いしね。それは助かる。
バスの埋まりほぼ満席。週末だからなのかもしれないけど、結構高速バスって人が乗るんだなぁ。
初めての遠出。日帰りだけど、それでも嬉しい。ネットで目的地までの行程を調べてみたけど、なかなか長距離移動になりそう。
「車で行ったほうが楽なんだけど、免許も車も無いしな……」
予定を立てている時、電話で冬海がそう言った。うーん……まだ免許取得の歳じゃないしね。
入道崎。今日は、そこへ行く。冬海が「晃と行きたいな」って言っていた場所。どんな場所なんだろう。
行ってからの楽しみが半減しそうだったから、行程を調べたりして出てきた写真はなるべくじっくり見ないようにしていた。興奮して昨夜はよく眠れなかったんだ。だから、バスに乗ってからすごく眠い。
「でさ、会社の森さんが晃も連れて来いって」
「……ぁ」
やばい。話、聞いてなかった。どうしようすごく眠い。
「眠いんでしょ。出発したばっかりだし、寝ていいよ。俺もちょっと眠い」
半分寝ているような状態のあたしは、その言葉で目を閉じた。昨夜、ちゃんと眠れなかったから。バスからの景色も見たかったのに。冬海、呆れただろうか……ごめん。睡魔はあたしの目蓋に「くっつけ!」と魔法をかけたに違いない。