月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
「泊まって温泉とか良いよな。でもほら、晃は学生だし、俺達まだ未成年だし。なんかこう」

 面倒なことがあるかもしれないだろ? と思っているに違いない。なんとなく。

 そんなことはさておき、冬海はおにぎりを3個食べ、あたしはサンドイッチを食べて、一緒に買ったお菓子も食べて、まるで小学生の遠足のように興奮していた。バスの中だから騒ぐわけにもいかないので、大人しくしていたけど、本当はもっとワイワイしたかった。大好きな人と、お出かけ。楽しいし嬉しい。

 冬海と一緒じゃなかったら、こんな気持ちも分からないままだったかもしれない。
 少しだけ大人になった視線と、声。髪型、少し日に焼けた頬。変わっても、変わらない。あたしは隣に居ることができて、とても嬉しかった。

「免許取って車持つようになったら、サービスエリア巡りしたい」

 あたしは、その土地の美味しいものを食べて回ったら幸せだなと思っていた。免許取って、安全運転であちこち行ってみたいな。

「いいけど、食べ過ぎ注意だかんなー」

 冬海の苦笑い。冬海は食べても太らない体質みたいで、羨ましい限り。あたしは食べた分、確実に肉や脂肪に変わっていくからね。引き締まった冬海の体は、食べたものどこに蓄積されてるんだろうと思ってしまうほど。

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