月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
 とか色々考えながら廊下を歩く。

 反対側の窓に目を向ける。

「……?」

 あたしは、足を止めた。

 そこから見える景色は体育館の後ろ姿。要するに体育館裏。

 L字型の校舎に隣接する体育館。

 その体育館裏には、整えられた花壇がある。校長先生の趣味らしいけど。

 背が高い木や、四季の移り変わりに沿って咲く花。
 

 オレンジ色に染まるその風景の中に、足が見える。

 制服の、足が見える。体は木に隠れて見えない。


 人が……倒れてる?


 あたしは、血の気が引くのを感じるとともに、走り出していた。

 走りながら、まず確認してみて、緊急だったらすぐ先生に知らせに行って、と頭で考える。

 考えるうちに体育館裏の花壇に着いた。たしか、もうちょっとあっちの影のほう。

 い、息が。運動不足だな。


 あたしは恐る恐る、さっき見た足の方へ行った。たしか、こっち。




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