月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
「センパイ、きれいな人だね」
あたしを、きれいだって言った冬海。
あの瞳と仕草と、見かけよりも低い声と。
昨日の事のように思い出される。
明日は会えるかな。
空を見上げ、そして視線を戻した時。
横断歩道のでの信号待ち。
正面に見える、夕方ラッシュ時の駅ロータリー。
青いネクタイを締めた、うちの学校の男子生徒が見えた。それは横顔。
携帯で話をしながら、こっちを振り向いた。
冬海、だ。