月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
いつものように気怠い午後の授業を終え、気怠い体を引きずってあたしは生徒会室に向かった。
もしかしたら、噂は中尾先輩の耳にも入ってるかもしれない。
だったらちょっと気まずいけれども、普通にしてなきゃ。
生徒会室には、まだ中尾先輩は来ていなかった。
3年執行部が引退、そして1年からクラス推薦が仲間入り、これからはあたしたち2年が中心でやっていく。
前会長だった中尾先輩とか、中心だった生徒はまだ引継なんかで関わってるけれど。
……っても、あたしが何かするわけじゃないんだけどさ。
黒板はキレイにされ、黒板があるのにホワイトボードもある。
ボードには、赤や緑のマグネットで学校行事や組織などの表が貼り付けられている。
噂、早くおさまるといい。
中尾先輩も、もう受験に専念するだろうし、これから先は会う機会も減ってくる。
バタバタバタッ ガチャッ
「ごめーん! 遅くなった」
騒々しいと思ったら、中尾先輩だった。
「先生に捕まっちゃってさ、待った?」
「いえ、大丈夫です」
昼休みも今も、走ってきたんだ。息を切らしてる。