月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
 しんと静まりかえった生徒会室。


 自分の心音が、体から耳に響いていた。



 今日もよく晴れていた。

 雨不足にでもなっちゃうんじゃないか、なんて梓と美由樹と3人で話していた。


 煙ったような太陽の光が生徒会室に降り注ぎ、あたしたちを包んだ。



「……好きなやつとか……居ないんだったら、考えてみてくれないかな」

「……あ……あたし」

「あ、別に今すぐとかじゃないから。もう、ぶっちゃけ卒業までとかでいいから」

「そ、卒業?」


 カタン。

 中尾先輩は立ち上がる。


「卒業までに、幸田さんが俺を好きにならなかったら、諦めるよ」

 窓の方に歩きながら、静かに低い声で話す先輩。


「こんな、噂で幸田さんが揺れてる時に告白するなんて、卑怯だとも思ったんだけどさ」


 振り返ってあたしを見る。逆光で眩しいです、先輩。


「ボヤボヤしてると、まじで後悔するって思ったから。誰かに取られるって」


 誰か、って誰。


「中尾先輩、あたし」

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