月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
コンコン。
二人は、同時に生徒会室のドアを見た。
「はい」
ドアを開け、入ってきたのはショートカットでメガネをかけた女子生徒。
「高木……」
3年生の執行部、だった人。高木マミ先輩。
「なんか、話し声が聞こえたから」
「ああ、うん。幸田さんに書類頼んでて、修正箇所出来ちゃったから説明してたんだ」
少し早口になる中尾先輩。
「そう。何か手伝う事はある?」
「いや、大丈夫だよ、ありがとう高木」
「そういえば、担任探してましたよ。中尾くん」
「え、なんで? さっき逃げたからかなぁ」
ちょっと行って来るわ、そう言って中尾先輩は生徒会室を出て行こうとした。
「あ、プリント。出来上がったらこの教室置いといてくれればいいから」
「はい……」
またもや颯爽と、生徒会室を出ていった。
残された、あたしとマミ先輩。