月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
 中尾先輩にも、ちゃんと言わなきゃ。

 そんな事、マミ先輩に言われなくたって分かってる。



 ちょっと走り気味で廊下を来たから、少しだけ息が切れた。



 マミ先輩の登場でうやむやになったけど、あたし、中尾先輩に告白、されたんだ……。

 前にも、言ってくれた。見てたからって、真面目にやってることをって。

 あたしのこと、見ててくれたって。

 生徒会長をやった人が見ててくれたって。

 素直にそれは嬉しかった。

 でも……。



 下駄箱まで来て、この前、冬海と挨拶を交わした階段を見上げた。



 頭をよぎるのが冬海じゃなかったら、あたしは違う答えを出しているのだろうか。


 その問いは、あたしの中に渦巻くばかり。




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