月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
 部屋に戻って、あたしは生徒会プリントを追い込みで作る。

 一応、約束は明日の会議まで。

 原本を作って、あと明日、先生にコピー機借りよう。

 修正だけだからすぐ終わる。


 その時、携帯が鳴った。あたしは慌てて鞄を開ける。

 いつもはサイレントか切っているんだけど、最近は帰宅したら音が鳴るようにしている。

 この間、冬海からかかってきて、気付かないでしまったから。


 携帯の画面には美由樹の名前。

「もしもし」

「あ、アキ」

「どしたのー?」

 梓も美由樹も、電話っていうよりもメールでやり取りするほうが多い。

 電話はなかなか珍しいかも。


「んーなんかさ、会長の事。アキ大丈夫かなって」

 萌え系アイドルのような外見の美由樹が、可愛く小首を傾げて電話している姿が思い浮かぶ。
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