月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
 あんまり生徒のプライベートな事をベラベラ喋るのは感心しないけど。


「おばあさんと2人暮らしだそうだ」


 おばあさんと。



 お父さんの転勤ではない。というか今ちょっと「いや」って否定したよね?

 両親いないのかしら……。



 整った人形のような顔の、睫毛の動きを思い出す。

 静かな視線と。

 顔が熱くなるのを感じた。わわわ。


「ま、なんかあったら教えてくれや」

「はぁ、お役に立てるかどうか」

「付き合う事になったら報告な」

「な、ちが……!!!!」


 なに言ってんだこの先生は。



 コピー機は、うちらの会話をよそに音を立ててカウントしている。


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