月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
 分かった。光はたぶん恋で悩んでるんだ。

 恋わずらい。おお、なんか我が妹の事ながら、ドキドキする。……って、バカ姉でごめん。


「まぁ、今まで1人や2人は」

「……」


 光はそれだけで黙ってしまった。あたしの恋愛遍歴を聞いて何も参考にならないと思うんだけども。
 付き合ったのだって中学校の時に1人だけだし。「浮気相手として」だけど。

「そっか。うん、なんでもない。いいや」


 すっごい勢いで壁を作られてしまった。デリケートな事だし、光から言わないなら今はとりあえず撤収したほうが良さそう。

 数秒で色々考えて、あたしは回れ右をする。

「そ、分かった。じゃね」

 そしてそっとドアを閉め、部屋を出た。


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