見えない糸
5本目のタバコを吸ってる最中、部屋のドアをノックする音がした。
「オジサン、来たよ...すごい煙いッ!」
紗織はゴホゴホ咳をしながら、部屋の窓を開けた。
「換気してよ、こんな部屋で長い時間なんて無理だって!」
「ああ、悪かった。調べ物してて、煙なんて気にならなかった」
部屋の中の景色が、さっきよりもハッキリ見えてきた。
笑いながら、吸い終わったタバコの火を消すと、紗織の方を向いて話した。
「さっきも言ったけど、大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。今度はちゃんと治療うけるわ」
それなら...そう言って、紗織を椅子に座らせた。
「煙も無くなったし、窓閉めるからな。寒くないか?」
紗織は「うん」と頷いた。
「じゃ、始めるから...」
直次は前回と同じように、部屋の明かりを落とした。