君を愛したい
「オレ様、4番よ?」
「……だから?」
「オレにかなう奴がいるわけない!」
自然と眉間にしわが寄ってしまう。
………てか
「4番なら尚更だろ…」
「えー。なー、兄ちゃん!俺行かなくても強いよなー」
「さあな」
ぐいぐいと腕を引っ張る陸に動じず、先輩は冷静に返事をする。
そんな七瀬兄弟を見ながら、ふっと嫌な考えが俺の頭をよぎった。
最終的に星来が野球部に入部するのを承諾したのは…陸がいるからであって。
……やばい
今、野球部は魔の巣窟!!!!
「……陸、行くぞ」
「へ…?」
七瀬先輩の腕にくっつく陸を引っ剥がし、俺は学校へ走り出した。
「ちょ、おい!蒼空っ。いてぇっ」
「先輩っ、また学校で!」
「ん」
ギャーギャー騒ぐ陸をシカトし、俺は星来を救うため学校へと急いだ。
□
ゼェゼェ………
「いてぇっつの、ばかっ!」
「あー、わりぃわりぃ」
「その棒読みありえねえっ!」
学校へついた途端、陸は俺に文句たらたらだ。
それでも足はグラウンドへ向かってんだけど。