君を愛したい
ある程度歩くと、両手に何かを抱えて歩く人影が見えた。
「星来…」
「おま、目いいな!俺誰かわかんないしっ」
一目で星来だとわかった俺が安心して呟くと、陸が驚いたような声をだした。
そして目を細めてじっと星来を見る。
そんな陸を見ながら俺は軽くため息をついた。
わかって当たり前だっつの……
俺が何年、星来を見てきたと思ってんだ。
「ん?なーシスコン兄ちゃん」
「あ?」
「あれが星来ちゃんっつうのはわかったんだけど……隣にいるのは誰だ?」
「……は?」
陸の言葉に、再び俺は星来に顔を戻した。
その瞬間見えてきたのは、仲睦まじく話す星来と男の姿。
「……あいつ……米村っ!」
「あ、あれ米村?」
目がいいのも困りものだ。
星来の隣にいるのは米村海(ヨネムラ ウミ)。
星来を狙っている(俺が見てる限りだけど)、一番近づけてはならない奴だ。
「米村だったら星来ちゃん渡しても……って蒼空!!?」
後ろで陸が何か言ってるけど気にせずに、米村を見た瞬間、俺は星来たちの元へ歩き出した。