君を愛したい
「あ、ほんとだ!じゃあ行くね!」
「お、おー……」
校舎の時計を見た星来は、慌てて走っていった。
勝ち誇った顔の米村と一緒に。
俺は顔をひきつらせて笑いながら、星来に手を振ることしかできなかった。
あー………!!!!
「米村、まじうぜーっ!!!!」
「シスコン兄ちゃん、落ち着いて」
陸と教室に向かいながら悲しく叫ぶ俺。
なんで俺は星来の"兄"なんだろう。
"兄妹"
この血のつながりはどうしようもない。
もがいてももがいても抜け出せない、蟻地獄みたいなもんだ。
そこまで考えて、教室に入る直前大きくため息をついた。
そして教室に入ろうとすると、陸が口を開く。
「お前、最近やけにため息多くね?」
「そうか?」
こくこく頷く陸を見て、またため息をつきそうになってしまった。
でも仕方ない。
ため息にでもして吐き出さないと、この思いを星来にぶつけてしまいそうなんだから。