眼鏡と私とあなた
なんて妄想するたびに自分が嫌になる。

つか、みじめになる。

「・・・順番にやっていこう」

私は、ぞうきんや箒を清掃用具入れに一旦しまった。

キュッキュッを水分を含んだモップが床を磨く。

はっきりいって、めちゃくちゃ力仕事。

「俺も手伝うよ」

と、近くから声がした。

その人は、すごいビン底眼鏡をかけていて、まるで私のようだった。

「あ、あの・・・」

ひょいひょいと箒を使ってあたりを掃く。

「ほら、口動かす暇あったら手を動かす!」

びしっと人差し指を私に向ける。

なぜだろう。

説得力がハンパ無い。

先生に同じ事言われても、イライラしかしなかったのに。

この人が言うと、妙に納得してしまう。
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