眼鏡と私とあなた

ゴミ箱を運ぼうとしても、

「俺がやるから」

って私にはさせてくれない。

すごく紳士的な人。

同じビン底眼鏡でもこうも違うとは。

「待って、片方持つよ!」

いてもたってもいられなくて、持ち手の片方を握った。

「・・・さんきゅ」

その頬笑みは、なぜか眼鏡をかけていても、温かく感じた。

「い、いえ」

ってか、この人だれ?

「あの、誰ですか!?」

「ぶっ!」

と吹きだした彼。

「ははっ。そうだったね、自己紹介まだだったね。俺は秋山麗。季節の秋に山に麗しいの麗」

「あ、私は・・・」

「町田紗季さんだよね?」

「え、何で知って・・・?」
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