眼鏡と私とあなた
と、兄はスーツのネクタイをきゅっと締め、家を出て行った。

いつもは私が起きたら兄はすでに仕事に行っている。

今日はたまたま私が起きるのが早かったわけで。

「ほら、紗季も早く食べないと遅刻するわよ」

「あ、うん。わかってる」

と、少し食べるペースを速めた。

ちなみに、父は現在オーストラリアに出張中だ。

父も結構有名な会社に勤めている。

お母さんは専業主婦。

毎日料理の研究とかしてるみたい。

あ、着替えなきゃ。

「ごちそうさま!」

部屋に戻って、バタバタと学校の仕度を始める。

仕度といっても、いつもは前日にしてる。

けど、あんな出来事があった日だったから、支度するのを忘れていた。
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