ダブルベッド
桃香がナビを設定したのは、都内のとある花屋だった。
ラブホテルから3時間弱かけて到着すると、
「送ってくれてありがとね。用事が済んだら一人で帰れるから、木下くんは先に帰ってゆっくりして」
と笑顔を向ける。
充はその笑顔に違和感を感じずにはいられなかった。
「一人なら、俺も付き合うよ。暇だし、帰る方向も同じだろ」
「でも、デートの後に行くような場所じゃないよ?」
「どこだっていいよ。俺はもうしばらく、池田さんと一緒にいたいし」
桃香は困ったように笑い、充の提案を承諾した。