ダブルベッド

 心の中でゲッと思いながら、充は軽く頭を下げる。

「課長、お疲れっす」

 うん、と言いながら課長はタバコに火をつけた。

 気まずい。

 また何か怒られるような気がする。

「木下」

「はいっ」

「来月の原稿……」

 きっ……来た!

 充の体に力が入る。

「よくできていたな」

 ……え?

 思いがけない言葉に、目を見開く。

 この課長に誉められることなんて、入社して以来あっただろうか。

「あ……りがとう……ございます」

 課長は煙を吐きながらフンと鼻で笑った。


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