ダブルベッド

 充はふと昼の沢田を思い出した。

「これ、お前にやるよ」

 ラブホテルのカードとチケット。

 もしかしたら、既成事実まで沢田に先を越されたのでは……?

 草食系男子?

 とんでもない。

 沢田はシマウマの皮をかぶったライオンじゃねーか。

 タバコの煙が換気扇に吸われていくのを見届けながら、充は心の中でぶつくさと文句を垂れ続けた。




 そして、帰路。

 桃香と駅のホームで電車を待つ。

 充は

「日は落ちてるのに、暑いねぇ」

 と呟き汗を拭う桃香の首筋に釘付けだ。

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