疾風迅雷〜君は嵐のように現れた〜
部屋の荷物をまとめていたら、宝物の箱から1枚の写真が出てきた。


パパとママとあたし。


3人で撮ったたったひとつの写真。


パパが死ぬ2週間前のあたしの誕生日の写真。


パパは写真を取られるのが嫌いだったらしくて、この写真の日もママが無理やり一緒に撮ったのだ。


「パパとの思い出の家ともお別れか」


そろそろあたしもパパ離れしないと。


でも不思議と寂しくはなかった。


「よっし、あたしも頑張ろ!」


あたしはパパの写真に向かって宣言した。


夏の夜はもうすぐ朝を迎えようとしていた。
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