いちごキャンディー
買ってきた食材を冷蔵庫に詰めながら紫織さんに本日のメニューを聞いた。


「今日はハンバーグ。」

『何か手伝おうか?』


俺がそう口を開いた瞬間だった。


「紫織ーっ!!」

「きゃっ!!‥ま‥‥真桜くんっ////」


兄貴がいきなり現れて紫織さんを後ろから抱きしめた。


「お腹すいたぁ…」

「ゎ、わかったからっ////」


離してと暴れる紫織さんを離した兄貴はこう言った


「俺が手伝うよ。」


とてつもなく爽やかな笑顔だったけど“が”を強調して俺をちらっと見た。


『‥‥‥やきもちか‥』


俺は聞こえないほど小さな声で呟いて台所を後にした。


隆平も兄貴も紫織さんもそう、好きな人を思う気持ちが解った。

俺も空澄が好きで、ずっと好きで…道に迷ったり、変えてみたりしたけれど、やっぱり行き着く先が空澄ならいいと思うよ。


兄貴が紫織さんを連れ戻しに行ったように格好よくは出来ないだろう

矢野が榊に伝えたように力強くは言えないんだろう

隆平が決意したように潔くはないんだろう

紫織さんが語るように素直にはなれないんだろう


それでも俺も空澄に伝えよう。

恋する気持ち
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